ピアノ初心者講座では、ピアノを弾く上で必要な知識を段階的に得ながら、簡単な曲から、実際に弾いて学べるように作っていきます。
第1弾となる今回は、楽譜の簡単な読み方、ピアノの基本的な指の動かしかた、リズムを中心に解説します。
弾く前に必要な情報は、これまでの記事で解説していますので、ご興味のある、もしくは知りたい内容がありましたら、記事へのリンクを貼りましたので、よろしければご覧ください。
基本的な楽譜の読み方について
今回練習する1番を元に、楽譜の読み方を簡単に説明します。
音部記号
最初に書いてある記号は、音部記号といいます。
この楽譜では、上と下に『ト音記号』が書いてあります。
ト音記号は主にピアノの高音部を担当する音部記号です。
テンポ
テンポは、曲の進むスピードを表します。テンポの表記は、イタリア語、英語など色々な表記方法がありますが、ここでは現代音楽でよく使われる『♩=120』という表記を用います。
『♩=120』の意味は、『4分音符(♩)を1分間に120刻む速度で弾いてください』です。
その他に『M.M.120』『120BPM』など同じ意味を持つテンポ表記があります。
いまいちピンときませんね。これは文章で説明するより見てもらったほうが早いと思いますので、どのぐらいなのかご覧ください。
『だいたいこんなもんなんだ』ぐらいの認識で大丈夫です。
音楽では数字を数えるときに『拍』という言葉をよく使います。
1拍、2拍…というような感じです。
動画は、1分間という時間に対して120拍(beat)刻んでいます。
最初のうちは、特にリズムを一定にすることが難しく、適当に弾いてしまいがちです。
それを補助してくれる道具が、メトロノームです。
自分の演奏を撮影して編集しているので、自分の演奏を客観的に見ているのですが、メトロノームを使わずに撮るとなんとも微妙なことになります。
これは、自分の頭の時間の中では合ってるつもりなのですが、実際の時間ではズレている。
つまり人というのは、焦ったときや、集中しているときなど状況によって時間が遅く感じたり、早く感じたりします。
皆さんも経験があるのではないでしょうか。
もちろん演奏者が意図して、ゆっくり弾いたり、素早く弾いたりすることはありますが、それは意図してのことです。
今回の練習曲では、途中で遅くなったり早くなったりする必要は全くありません。
『意識して一定のテンポで弾く』ことがポイントです。
『下手なだけじゃ・・』というのはありますが、プロの現場で楽器を個別に録音する場合、クリック音(メトロノームみたいなもの)を演奏者に流します。
これはバラバラに録音した音を同期させるために必要で、これがあることによって個別に楽器を録音しても、後で合わせること(同期)が可能になります。
感覚はもちろん大切ですが、まだ感覚を養えていない状態です。
感覚を鍛える意味でも、リズムやテンポ感を覚えることは、必要不可欠です。
専用の機器もありますが、スマートフォンのアプリや、電子ピアノ内蔵のメトロノームでも大丈夫です。
後ほどiPhoneをお持ちのかたであれば、ほとんど入っていると思われるGarageBandでのメトロノームの設定方法をご紹介します。
Androidでもgoogle playを検索したところ、いろいろなアプリがあるようです。リンクはGoogle Playでの検索結果です。
拍子
音部記号の後に書いてある『C』ですが、これは4分4拍子の省略系です。
4分4拍子というのは、『1小節(縦の線で区切った単位)に4分音符(分母)が4つ(分子)入る長さ』という意味です。
曲のリズムは、この拍子で大きく左右されます。
リズムといえば『ドラム』ということで、ドラムで4拍子を作ってみましたので、ご覧ください。
どこかで聞いたことのあるリズムではないでしょうか。
ポピュラークラシック問わず、よく使われる拍子です。
音符
音符は、音の長さを示すためにあります。全音符を『1』と考えます。
全音符を半分の長さにしたものが、2分音符です。
今回の楽譜は、全音符と2分音符が使われています。
音符の位置と音の関係は次のようになります。
指番号
楽譜の上下に書かれている番号のことを『指番号』といいます。
番号が、両手の各指に紐付けられています。
この指番号があることで、どの指で鍵盤を弾いたらよいのか、分かるようになっています。
楽譜の上段が右手、下段が左手に対応しています。
手の形
手の形は指が自然に曲がるような状態にします。
一時期は卵を持つような形といわれていましたが、弾きやすい手の形で大丈夫です。
それより手首及び肘が手の甲より下にいかないように、椅子の高さなどを調整することが、重要です。
ピアノを弾く姿勢
背筋を伸ばし、足を床につけることで体を安定させます。
特に足を床につけることは、とても大切です。
ピアノの弾き方
ピアノの弾き方のコツは、『必要な部分に最小限の力を加えること』です。
体を動かすもの全般にいえることですが、筋肉というのは力をいれると緊張し、硬くなります。
ピアノを演奏するには、しなやかに指を動かす必要がありますので、力まずリラックスして演奏に臨んでみてください。
人間は本来リラックスしていたほうが、力は出せるものです。
ただこのリラックスするというのは、ひたすら難しくずっと付き合うものなので、一番の難敵かもしれませんね(^ー^;
特に最初のうちは、力んで肩が上がりがちなので、慣れるまでは鏡や他の人にチェックしてもらうのが、良いと思います。
また、猫背になってしまうと、肩、肘、手首が、全体的に下がってしまいます。
せっかく椅子の高さや姿勢を調整しても、台無しになってしまいますので、猫背にならないよう注意しましょう。
特にミスしたときや上手くいかないときに、力んでしまいがちです。そのときは大きく深呼吸してからもう一度演奏することを、私は実践しています。
個人的にお勧めです。
メトロノームの設定方法(GarageBand編)
ここで、iPhoneをお持ちのかたには元々入っていることの多い、Apple製アプリ『GarageBand』を使って、メトロノームを設定する方法をご紹介します。
1.アプリを起動
アイコンをタップして、アプリを起動しましょう。
2.曲を作成しましょう
『+』ボタンをタップして曲を作成します。
3.SmartDrumを選択
どれを選んでもメトロノーム機能は使用できますが、今回は『SmartDrum』を選択し、タップします。
4.スパナマークをタップ
スパナマークをタップして、設定画面を開きます。
5.メトロノームの設定
メトロノームの設定項目が出てきます。
メトロノームサウンド
メトロノームの音を変更できます。
テンポ
曲の進むスピード(テンポ)を設定します。
拍子
曲の拍子を設定します。
今回は4/4拍子ですので『4/4』を選択します。
再生する
後は真ん中の再生ボタンを押せば、設定した内容で、メトロノームが再生されます。
弾いてみましょう
曲はグルリット 初歩者のための小練習曲 Op.187(Gurlit Kleine melodische Etuden fur Anfanger im Klavierspiel Op.187)です。
初歩者のための小練習曲 1番
ドからソまでを2分音符で弾く楽譜です。最後だけ全音符が書かれています。
ピアノの鍵盤の位置は、真ん中より少し下のドに左手の小指を、1つ上のドに右手の親指を置きます。
その位置が決まったら、その他の指を順番に白鍵(ピアノの白い部分の鍵盤)に置きます。
まず動画を見て楽譜と音を確認してみてください。
動画と楽譜のテンポは、120と書いてありますが、速いようであれば、100ぐらいから始めても大丈夫です。
上手く弾けるにこしたことはありませんが、あまり気にせずテンポとリズム、音符の長さを重視して弾いてみてください。
テンポ100、110、120のドラムパターンも作成しましたので、よろしければお使いください。
私はメトロノームの音だけより、楽しくなります(笑)
初歩者のための小練習曲 2番
1番と同じ2分音符と全音符の構成になっています。
音が1つ飛ばしで展開していきます。
手の位置も一緒です。
また、指によって音量が極端に変化しないようにしてみてください。
次回
次は4分音符、スラー、レガート奏法を中心に解説します。
それでは楽しいピアノライフを♪
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